私の空を這いずる記

【読書記録】新潟を舞台に起こる怪事件に挑む姉弟のアクションミステリー『金色天化』

『金色天化』
新潟文楽工房 ヤマダマコト∥著
2019年4月19日 読了

 

ざっくりあらすじ

新潟市で急増する自殺。街に貼られた奇妙なシール、さらに謎の自己啓発セミナーと事件が関係していると感じた、化粧により人の心を操る「天化」の継承者である姉弟がこの怪事件に挑む、アクションミステリー。

 

ざっくり感想

新潟市で連続して起きた若者の自殺事件。これを「天化」の継承者である卜部姉弟と県警が協力しつつ解決していく物語です。

弟の卜部航は継承者でありながらほぼニート状態の生活を送り、家業の化粧品店を切り盛りし、自分よりも「天化」の才能のある姉・コガネにどこかコンプレックスを抱いています。そんなコガネではなく、長男である航が卜部家の跡取りとなっているから…等々の理由で。

そんな二人が、長姉・綾乃に頼まれて県警と共に事件を追う事になるのです。

 

予備校の屋上から自殺した男子高校生、不良に絡まれているところを助け知り合った女子高生の聡美と遙、コガネが通う七宝焼き教室の神蔵、聡美をつけるストーカー。そして街に貼られた奇妙なシールと謎の自己啓発セミナー。

それぞれが複雑に関係し、徐々に事件の全貌が暴かれてゆきます。

 

前半は卜部家と他の登場人物との関係性や新潟市阿賀野市の事や、航のコガネに対するコンプレックスの描写が多いです。めっちゃ多い。
ある意味”シスコン”小説。笑。

後半から面白さがぐんと増えます。
「天化」を使ってのアクションが派手になります。といっても、前半は聡美と遙を助けた時にはぼ戦う事なく不良たちを無力化した時と、議員の選挙ポスター撮影用の化粧、葬式時に遺体に施す化粧くらいしか「天化」のシーンがなかったので、こんなガチバトルも繰り広げるのか…!とビックリ。

 

更に物語が進むにつれ、

えっ あっ、そことそこが繋がるのねー?!

という意外性もありました。(いや、私にとっては意外だっただけで、気付く人は気付くかな?)

 

点と点が線で繋がり、判明する真犯人の正体――
前半の伏線を全て回収するので、読後感が良いです。

 

そもそも「天化」とはなんぞや?

この物語に出てくる、というかテーマの「天化」って何だろう?と思って検索してもこの本の情報くらいしか出て来ません。

作中で佐渡出身の刑事が、

伝統芸能、というか昔からの呪いだな。化粧やお面を使って、相手の心理を操作する。怖がらせたり、魅了したりな。ときには自分自身の心を操る。落ち着かせたり、奮い立たせたり――。

と部下に説明しています。

これが本当に存在するものなのか否か気になりますが、検索しても出て来なかったしなぁ。

 

と思っていたら、あとがきで作者が、

劇中の「天化」については完全なフィクションです。私の脳内では、古代の呪術的な顔への入れ墨がルーツになっていて、時代の中で変化していき、世阿弥の時代に成立。以後は戦国武将や侍たちの間で活用され、発展してきたイメージを考えましたが、これもフィクションというか、あまり深く考えておりません。

…という事だそうです。スッキリした。笑。

 

長編小説ですが、アクション&ミステリーの他に「天化」というちょっとファンタジーのような要素もあり、ライトノベル感覚でも読める作新だと思います。
続編もあるという事なので、今度読んでみようと思いました。

 

終わり。

 

 

新潟文楽工房 ヤマダマコト∥著